学生コラム

関わりを持つ中で、

===================================================
(記事概要)宮城県女川町に住む聴覚障害者の男性は地震があった後も自宅に残り、部屋に散乱した家具を片付けていました。津波の危険を知らせる防災放送が聞こえなかったからです。

この男性は幸いにも、首まで水に浸った状態のまま割れた窓ガラスから脱出して2階に避難することができたため、一命を取り留めました。
記事 宮崎智之2014年05月14日 (http://blogos.com/article/86035/)
===================================================

障害者がどこから災害情報を得たのかについて日本障害フォーラムと陸前高田市が実施した調査によると、防災行政無線からの割合が20.6%と最も高くなっている。しかし、女川町の男性の場合は聴覚に障害を持っていたので、無線での避難指示が聞こえることはない。障害者に対する防災、緊急時のインフラ設備の不十分さが表れた結果と言える。

内閣府の聞き取り調査では、被災した沿岸自治体に住む障がい者の2%超が死亡及び行方不明になったと推定しており、一方で同じ地域の住民全体の死者や行方不明者の割合は1%弱であったと報告されている。

このような現状を受け、各自治体では防災計画の見直しが行われ、実効性のある防災計画を策定する取組が始まっている。そしてその中で重要になってくるのが、「災害時要援護者の事前調査と事前調査書の実施」である。誰もが避難でき誰でも避難させられる、わかりやすい避難マニュアルの作成が急がれる。

実際に起きた災害で障がい者(さまざまな障害)がどのような時に不便であるのか、どんなサポートが必要でどんなことなら自分で出来るのか、生の声を聴くことは防災において重要な点である。

このように障がい者にとっての防災の今後を述べてきたが、一番の理解を必要とする点は意識上のバリアフリーである。

究極の状況に置かれ、障がい者を目の前にした時に私たちは、手を差し伸べることができるのだろうか?バリアを取り払った介助を行うことができるのだろうか?

この点においては長期的視点での障がい者理解が求められるだろう。

私はかれらと関わりを持つ中で、彼らの人柄や自立しようと頑張る姿、バリアを認め共生する努力を目の前で見させてもらった。このような関わり合いを普段から行うことで、本当にバリアを取り払った関係が成立していくと思う。

そして今後重要なのはその関係づくりを市区町村と地域のコミュニティが一体となって確立していくことだ。コミュニティーが生まれ、絆が生まれた時、私たちは本当に災害と向き合って行ける。