学生コラム

少子化対策に実効性を

日本では長年に亘り、少子化問題が度々取り上げられているが、中でも厚生労働省が3日に発表した人口動態統計が高い関心を集めている。2021年の出生数が81万1604人で、統計開始以降、最小となったことが発表されたのだ。

宮崎日日新聞によると、「国が17年に公表した推計では、出生数が81万台前半まで減るのは27年としていた。6年ほど早く少子化が進行しており、社会保障の担い手不足などの対策が急務」であると掲載されており、日本の少子化問題の深刻さが伺える。

少子化が進行し続けた主な要因として、未婚化や晩婚化、不十分な子育て支援体制が挙げられる。それに伴い政府は、育児休暇の取得促進や男女の働き方改革といった政策を打ち出しているが、仕事と子育ての両立の難しさは払拭されず、少子化の勢いは止まらない。

少子化対策において、先を見通した案や意識改革は大切であるが、今現在の親に目を向けた案を練ることも重要であると私は思う。

近年、ワンオペ育児という言葉がSNSを中心に広がり、1人で家事や育児を担う母親(父親)たちが悲痛の声を上げている姿を目にすることが増えた。家事育児に苦しむ現代の母親たちをSNSを通して見ている10〜20代の女性は結婚や家庭を持つことに対し、マイナスイメージを持っているように感じる。

ワンオペ育児の打開策ともいえる育休促進は、「とるだけ育休」へと変貌し、育休中の男性3,899人のうち、1日の家事・育児時間が2時間以下である父親が3人に1人という結果になっている。育児への協力を感じられないことや経済面の不安から、夫に育休を取得して欲しくない母親が多数であるのが実情だ。

このような不確かな意識改革よりも、児童手当は所得だけでなく、1世帯当たりの子どもの人数を加味して給付するなど、実効性を持った策が必要なのではないか。目に見えた精神的・経済的な安心感を与えることで、少子化に歯止めがかかって欲しい。

参考文献

「21年出生数最少81万人」『宮崎日日新聞』2022年6月4日1頁
「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/index.html (2022年06月13日)
『「とるだけ」「名ばかり」育休STOPプロジェクトを始動!〜育休の愛称を「家族と」つくります〜』「コネヒト」https://connehito.com/news/changethenameofchildcareleave/ (2022年6月14日)