学生コラム

新しい資本主義

現在、日本では少子高齢化が進行し超高齢化社会となっている。それによって、生産年齢人口が年々減少し、生産性が低下している。その結果、日本人の平均賃金は30年間変化せず、世界諸国から大きな遅れを取っている。この状況を打開するために、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の全体の構想と実行計画が決定した。

臨時閣議で決まった全体構想と実行計画では、気候変動や少子高齢化など社会的課題の解決を図りながら経済成長を目指すとして「人」、「科学技術・イノベーション」「スタートアップ」「グリーン、デジタル」の4つの分野に重点的な投資を行うとした。

具体的には、画像の内容となっているが、私が疑問を感じた点は、人に対する分野の投資で行われる「出世払い型奨学金」である。この制度は、在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて納付を可能にする新たな奨学金制度であり、本格的な導入に向けてまずは大学院で導入すると検討している。詳しく内容を見ると「出世払い型奨学金」は、授業料を国が立て替え、卒業後に300万円以上など一定の年収を得られるようになってから返済を開始すると検討している。

しかし、年収300万円は出世しているといえるのだろうか。月に表すと手取りは20万程度で、そこから家賃や光熱費、食費を引かれると考えると奨学金の返済は厳しくなってくる。そのため、金額要件を上げる必要があるのではないか。また、怪我や病気など何らかの理由で職を離れ、年収が300万円以上にならない対象者の奨学金返済はどうなるのか。新制度には議論すべき課題が山済みだが、この制度によって多くの学生が生まれ、日本の未来を担う人材が増えることを期待する。

参考文献:岸田首相「新しい資本主義」実行計画決定 分配戦略後退指摘も|NHK|経済安全保障