学生コラム

個人情報をどこまで載せるか

東日本大震災が発災して2週間後の福島県、岩手県、宮城県の3県の避難者名簿には、合わせて5~8万人程度の避難者情報が載った。3県それぞれ載せる情報は違ったが、市町村名、氏名、性別、年齢、避難場所、退去日の記入はほぼ同じであった。

震災が大規模であった上に津波まで起こり、遠方の避難所へ行く人が多かった為、避難者名簿の公開の意義は大きかったが、一方で県の公開した避難者および避難所情報を含むデータベースでの安否確認が主な目的であったため、個人情報の視点から情報の扱いに注意が払われていなかった点が問題となった。

避難者名簿は基本的にはほぼ毎日更新されており、いずれの名簿も閲覧制限はなく、自由にアクセスが可能だったのが理由だ。

日本人のプライバシーに対する調査で、登録すべき個人情報の内容によっては、知り合い以外の第三者に情報を悪用される恐れがあり、避難者名簿等に個人情報の登録をためらっている人が多いことが分かった。

そこで、平常時と災害時とでプライバシー意識がどう変わるかを調査された。57人に氏名、電話番号、顔写真の掲載など21項目のアンケート調査を行ったところ、災害時のほうが平常時に比べ、情報公開を気にする割合が低いことが分かった。

特に、自分の氏名、顔写真、住所の項目について平常時と災害時とで結果が大きく異なった。しかし、これらの個人情報の公開に対する意識は、災害時においても日本人は個人情報の公開に対して不安を抱いている。

ぴ~すけにも災害時の避難確認として使用できる機能を持っているので、個人情報をどこまで載せるかが問題になってくる。個人情報の管理をしっかり行うと同時に、全ての項目を載せるのではなく、名前と地域や年齢は載せる前提で、その他の項目を2つ入力すると全ての項目が公開される仕組みにするなどしたらいいと考えた。

参考文献

・A-8-6非常時と災害時におけるプライバシー意識に関する検討(海老名毅 通信総合研究非常時通信グループ)

・避難者名簿の公開と情報保護-東日本大震災避難者名簿のデータベース化の試み-(高木義和)

(引用する場合は、出版先、ページ数等、出典先を詳しく記入する必要があります)